大阪地方裁判所 平成元年(わ)1343号 判決 1989年12月05日
本店所在地
大阪府富田林市喜志町五丁目三八〇番地の八
株式会社山本土建
(右代表者代表取締役 山本英一)
本籍
大阪府羽曳野市廣瀬四〇七番地
住居
大阪府富田林市喜志町五丁目三八〇番地の八
会社役員
山本正美
昭和一五年一一月六日生
右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官山田廸弘出席の上審理をして、次のとおり判決する。
主文
被告人株式会社山本土建を罰金四〇〇〇万円に、被告人山本正美を懲役一年六月に処する。
被告人山本正美に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人株式会社山本土建(以下「被告会社」という。)は、大阪府富田林市喜志町五丁目三八〇番地の八に本店を置き、土木工事請負業及び産業廃棄物の処理業等を営む資本金三〇〇〇万円の株式会社、被告人山本正美は、その代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが、被告人山本正美は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、残土投棄料収入の一部を除外するとともに、架空の外注費を計上するなどの行為により、その所得の一部を秘匿した上
第一 昭和五九年一一月一日から同六〇年一〇月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億六九〇三万三二九五円(別紙(一)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同年一二月二八日、大阪府富田林市若松町西二丁目一六九七番地一所在の所轄富田林税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三一五二万三六九円で、これに対する法人税額が一二一二万六六〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額七一六六万九七〇〇円と右申告額との差額五九五四万三一〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れ
第二 同六〇年一一月一日から同六一年一〇月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が五〇八四万一〇三三円(別紙(二)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同年一二月二七日、前記富田林税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三二一七万四七八二円で、これに対する法人税額が一二三〇万六二〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額二〇三八万九〇〇〇円と右申告額との差額八〇八万二八〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れ
第三 同六一年一一月一日から同六二年一〇月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二億六〇二〇万四七九五円(別紙(三)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同年一二月二八日、前記富田林税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二九二二万四五三四円で、これに対する法人税額が一〇七三万二〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額一億七七四万一八〇〇円と右申告額との差額九七〇一万一六〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示事実全部について
一 被告人山本正美の当公判廷における供述
一 被告人山本正美の検察官に対する供述調書及び同被告人に対する収税官吏作成の質問てんまつ書二二通
一 山本悦美子の検察官に対する供述調書
一 収税官吏作成の山本悦美子(五通)、辻昌子、間中茂(検察官請求分証拠等関係カード番号43)、久野武夫、橋本五男、杉本政樹、影谷欣彦、松尾八郎及び森本優(二通)に対する各質問てんまつ書
一 収税官吏作成の査察官調査書八通(同カード番号10、13、22、24、25、29、31、32)
一 富田林税務署長作成の証明書(同カード番号9)
一 登記官作成の法人登記簿謄本三通(同カード番号59、85、86)
判示第一及び第二の各事実について
一 収税官吏作成の査察官調査書(同カード番号26)
判示第一の事実について
一 海原壹一の検察官に対する供述調書
一 収税官吏作成の間中茂(同カード番号42)及び松山登に対する各質問てんまつ書
一 収税官吏作成の査察官調査書六通(同カード番号11、14ないし18)
一 収税官吏作成の脱税額計算書(同カード番号1)
一 富田林税務署長作成の証明書(同カード番号4)
判示第二及び第三の各事実について
一 収税官吏作成の査察官調査書(同カード番号23)
判示第二の事実について
一 収税官吏作成の芳村弘、道城武司及び稲田堅太郎に対する各質問てんまつ書
一 収税官吏作成の査察官調査書三通(同カード番号12、19、28)
一 収税官吏作成の脱税額計算書(同カード番号2)
一 富田林税務署長作成の証明書(同カード番号6)
判示第三の事実について
一 収税官吏作成の海原達也及び竹下順夜に対する各質問てんまつ書
一 収税官吏作成の査察官調査書三通(同カード番号20、27、30)
一 収税官吏作成の脱税額計算書(同カード番号3)
一 富田林税務署長作成の証明書(同カード番号7)
(法令の適用)
被告人山本正美の判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項に該当するので、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、被告人山本正美を懲役一年六月に処し、情状により同法二五条一項を適用して、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。
さらに、被告人山本正美の判示各所為は被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については、法人税法一六四条一項により判示各罪につきいずれも同法一五九条一項の罰金刑に処すべきところ、情状によりそれぞれにつき同条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により合算した金額の範囲内で被告会社を罰金四〇〇〇万円に処することとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 的場純男)
別紙(一)
修正損益計算書
(株式会社山本土建)
自 昭和59年11月1日
至 昭和60年10月31日
<省略>
別紙(二)
修正損益計算書
(株式会社山本土建)
自 昭和60年11月1日
至 昭和61年10月31日
<省略>
別紙(三)
修正損益計算書
(株式会社山本土建)
自 昭和61年11月1日
至 昭和62年10月31日
<省略>
別紙(四)
税額計算書
株式会社山本土建
<省略>